わたしのことや家族のことはこちらの記事もご覧ください
本記事は、Netty Land公式サイトおよび Netty Land 2025年10月号の内容をもとに、大学付属校(および系列校)の現代的な価値を整理・要約したものです。
近年の付属校は、内部進学という安心感にとどまらず、「探究」「高大連携」「進路の自由」をキーワードに進化を続けています。6年間を通じて、大学の専門性に早期から触れ、学びへの意欲を育む仕組みが整いつつあります。
🎓 通常の中高一貫校とは異なる“大学連携型の学び”

大学付属校の最大の特徴は、大学の教育資源を中高段階から活用できる点にあります。Netty Landでは、芝浦工業大学附属・東京農業大学第一・東京電機大学附属・東邦大学付属東邦などが紹介されています。
- 芝浦工業大学附属:理系人材の育成を掲げ、大学研究室との共同授業や実験を実施。
- 東京農業大学第一:大学の研究者が中高生に実験指導を行い、実学教育を推進。
- 東京電機大学附属:教授による専門講義を実施。
- 東邦大学付属東邦:理系志望が約7割を占め、理・薬・健康科学部との連携講座を展開。
さらに、明治大学付属明治では法学部主催の模擬裁判(Law Mock Trial)を実施。実践女子学園や昭和女子大学附属昭和などでは、高校生のうちに大学単位を履修できる制度も整備されています。
これらの取り組みは、単なる「大学進学保証」ではなく、「大学の知を前倒しで体験する教育モデル」へと変化していることを示しています。
🏫 系属校・系列校の拡大と深化

Netty Land特集では、「高大連携」からさらに踏み込んだ「系属校化」の流れも紹介されています。
- 宝仙学園 × 順天堂大学:2025年度から「順天堂大学系属理数インター」を設立し、医学・理数系教育を導入。
- 日本学園 → 明治大学付属世田谷:2026年度より再出発。内部推薦枠は明治大学定員の約7割(約200名)を予定。
これらの動きは、大学と高校の距離を縮めるだけでなく、法人間連携によって教育理念や人材育成の一貫性を高める流れを示しています。
📈 内部進学=安易ではない時代へ

付属校といっても「全員が系列大学へ進学する」純付属型は減少傾向です。主流となっているのは、半付属型(半進学校)と呼ばれるタイプです。
内部進学枠を持ちながらも他大学受験を認める柔軟な方針が取られ、「保険付きの自由」を得られる点が魅力です。これにより、生徒はリスクを抑えながら多様な進路を選択できます。
また、内部推薦の条件は年々厳格化されています。
- 法政大学:基礎的思考力確認テスト
- 日本大学:付属生基礎学力到達度テスト
- 立教女学院:立教大推薦には卒業論文提出が必須
このように、内部進学にも学力と努力が求められる時代へと変化しています。
🏛 大学側も変化する時代

Netty Landの記事では、大学そのものの変化にも注目しています。
- オンライン大学「ZEN大学」(2024年開学)
- 東京大学「UTokyo College of Design」(2027年9月開設予定)
- 文理融合・グローバル教育・女子大の共学化など、多様な大学改革
大学付属校は、こうした変化と呼応し、探究型・学際型の教育にシフトしています。受験偏重ではなく、「学びたい分野を起点に進路を設計する」姿勢が重視されています。
🔍 付属校と進学校の違いをどう捉えるか

進学校は外部受験で大学進学を目指す実力主義モデルであり、自由度が高い一方で競争も激しい構造です。対して付属校は、一定基準を満たせば系列大学進学が保証され、心理的安定が強みです。
一方で、人気学部への内部競争が生じるケースもあり、推薦を得るためには高い成績維持が必要です。
つまり、「安定と挑戦」「安心と努力」が共存する環境と言えます。
🧭 本質的な学校選びとは何か

大学名を冠しているだけでは、その学校の実態は判断できません。内部進学率が50%程度で、実質的に外部受験を重視する学校も少なくありません。
志望校を選ぶ際には、「進学制度の自由度」や「探究・専門学習の環境」を重視すべきです。大学との接続が深い学校ほど、早期から専門的な興味を育てやすい傾向にあります。
進路をまだ決めきれない段階の生徒にとっても、大学付属校は“学びながら見つける”ための貴重な選択肢といえます。
🌱 まとめ:付属校は「安定」と「挑戦」を両立する新しい学びの場へ

かつて付属校といえば「内部進学が保証される安全圏」と見られがちでした。
しかし今の付属校は、大学の教育リソースを中高段階から活用し、探究心を刺激しながら多様な進路を支える場へと変わりつつあります。
探究 × 内部進学 × 進路自由。この三つの軸が交わる場所に、付属校の新しい価値が生まれています。
変わる大学社会と呼応しながら、“学びの線”をつなぐ教育モデルとして、今後ますます注目されるでしょう。
コメント