【日能研小5算数】なぜ5年後半で一気に苦しくなる?|SAPIX・四谷大塚・早稲アカのカリキュラムと比べて見えたこと

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2026年組の中学受験本番が近づくにつれてこんなネット記事が増えている気がします。
「5年生のとき、もう少しちゃんとやっておけばなあ」

この言葉、日能研の家庭だと“特に”刺さりやすい気がします。
なぜなら日能研の小5算数は、進度だけ見れば「ゆっくりめ」と言われがちなのに、後半に入ると負荷が段差みたいに立ち上がる構造があるから。

割合・比・速さ・図形――入試で落とせない単元が続いて、テストと宿題と直しが重なる。
すると「理解はしているはずなのに点が取れない」「直しが回らない」「週末が追いかけで終わる」が起きやすくなる。

この記事では、この“後半で一気に苦しくなる理由”を、SAPIX・四谷大塚・早稲アカのカリキュラム感と比べながら整理します。


  1. 結論|日能研は小5後半に難易度の高い範囲が集中
    1. 進度が遅い=ラク、ではない(むしろ油断が起きやすい)
    2. 後半で一気に重くなると「穴」が“見えないまま”残る
  2. 日能研・SAPIX・四谷大塚・早稲アカ比較(筆者個人の見解です)
    1. 比較表|「進度」ではなく「負荷のかかり方」で見る
    2. “どの塾でも起きる山場”を、日能研は段差で迎える
  3. 大手塾は最終的に同じ山に登る(差は“到達時期”)
    1. SAPIX・四谷大塚・早稲アカとの比較は“速さ”だけで決まらない
    2. だからこそ「どのタイミングで苦しくなるか」が塾ごとの個性
    3. SAPIXは“前倒し+高密度”で、息切れポイントが分散しやすい
  4. 日能研小5算数で詰まりやすいポイント(親が観測できる症状)
    1. 割合・比・速さで“式は立つのに最後が合わない”が増える
    2. 図形×比(相似・面積比)で言語化不足が露呈する
    3. 計算の穴が「応用単元」で急に致命傷になる
  5. 親ができる打ち手|「6年で戻る」じゃなく「5年のうちに戻る」設計
    1. 復習は“翌週までに2回”をルール化(直し→類題→再テスト)
    2. テスト直しは3分類(読み違い/理解不足/計算・処理)で最短化
    3. 共働き運用テンプレ:家庭会議10分+週次レビュー15分で回す
  6. まとめ|日能研小5は「山の高さ」より「勾配」がきつい。先回りで勝てる
    1. 「進度が遅い」と感じた瞬間が、実は仕込みどき
    2. 今日からできる1センチ改善(3つ)
  7. 参考リンク集

結論|日能研は小5後半に難易度の高い範囲が集中

日能研の小5算数は、よく「進度はゆっくりめ」と言われます。

ですが、進度がゆっくり=ラク、ではありません。
むしろ日能研は、5年生の前半で計算や土台を丁寧に積む一方で、後半に「入試頻出で抽象度が高い単元」が固まりやすく、 負荷が“段差”のように立ち上がる。
結果として、小5後半が山場になりやすい——これが筆者の結論です。

進度が遅い=ラク、ではない(むしろ油断が起きやすい)

前半が丁寧だと、家庭は安心してしまう。復習の優先順位が下がる。
すると後半に入って、比・速さ・図形(面積比/相似/立体)などが連続して来たときに、土台の穴が一気に表に出ます。

後半で一気に重くなると「穴」が“見えないまま”残る

小5前半の弱点って、点数としてはまだ大崩れしないことが多い。
でも後半は、同じ弱点が「解けない」に直結します。

典型例(よくある“薄い穴”)

  • 計算が遅い/ミスが多い
  • 割合の日本語が曖昧
  • 図形の条件整理が弱い

この“薄い穴”が、後半の単元で「時間切れ」「立式できない」「最後が合わない」に変わります。


日能研・SAPIX・四谷大塚・早稲アカ比較(筆者個人の見解です)

SAPIX、四谷大塚、早稲アカは各講習会(春期、夏期、冬期)もカリキュラムが進みます
日能研は講習会をそれまでの復習と位置付けているため、新しいテーマに進みません。

比較表|「進度」ではなく「負荷のかかり方」で見る

視点日能研SAPIX四谷大塚早稲アカ
進度の見え方ゆっくりめに見えやすい
(前半で基礎を厚く)
速い・高密度
(前進し続ける)
予習シリーズ中心で見通しが立ちやすい四谷系ベース+演習量が乗りやすい
負荷の形(体感)段差型
前半→後半で急に重い単元が連続
常に坂
通年で一定以上の高負荷
後半で重くなる
比を軸に連結して負荷が増える
後半で重い+演習
宿題・演習で運用負荷が上がる
小5後半の山場割合・比・速さ・図形が連打しやすい山場が分散(ずっときつい)比→速さ→図形(相似・面積比)で重くなる四谷同様+演習量で週が埋まりやすい
家庭で起きやすい崩れ方「前半の安心→後半で直しが詰む」
週末が追いかけで終わる
常に時間が足りない
積み残しが蓄積しやすい
比の理解が弱いと以降が連鎖崩れ演習・宿題が多く運用負荷が先に限界
先回りの打ち手後半に入る前に
①翌週までに2回復習 ②直し3分類 ③運用テンプレ化
毎週リズム固定
量を減らすより「回し方」を固定
比の基礎を最優先
比が通ると速さ・図形が一気に楽になる
優先順位を明確化
宿題を全部やる前提を崩して“取捨選択の型”を作る

“どの塾でも起きる山場”を、日能研は段差で迎える

中学受験生がつまずきやすく、差がつきやすい「図形」「割合(比)」にフォーカスします。
日能研以外の塾は4年生の時に図形が動いたり、割合(◯割◯分◯厘)、比率にふれている一方で、日能研では5年生後半。
学年の後半で難易度が高い範囲に毎週出会うと、5年生の1学期は育成テストや公開模試の成績がよかったものの、2学期から急降下という生徒がいると長男から聞きました。


大手塾は最終的に同じ山に登る(差は“到達時期”)

SAPIXも、四谷大塚も、早稲田アカデミーも、日能研も、最終的には入試に必要な主要単元を一通り学びます。
違いは「どのタイミングで登るか」「登り方がどう違うか」です。

SAPIX・四谷大塚・早稲アカとの比較は“速さ”だけで決まらない

  • SAPIX:通年で負荷が高く、速いペースで前進し続ける
  • 四谷大塚:予習シリーズ中心で見通しが立てやすいが、後半は比を軸に重くなる
  • 早稲アカ:四谷系(予習シリーズ)ベースで、演習量や宿題負荷が乗りやすい
  • 日能研:前半で土台を厚くし、後半に入試頻出の山がまとまって来やすい(段差型)

つまり、日能研の鬼門は「遅いから苦しい」ではなく、
「遅めに見える期間の後に、重い区間が連続しやすい」ことにあります。

だからこそ「どのタイミングで苦しくなるか」が塾ごとの個性

同じ“山”でも、登り方が違う。
日能研は小5後半が急勾配になりやすい。SAPIXは通年で勾配がきつい。四谷・早稲アカは後半で比中心に負荷が高まる。
ここを押さえるだけで、「今うちが苦しいのは普通なのか」「家庭で手当てすべきポイントは何か」が見えます。


早稲アカも四谷系のカリキュラムをベースにすることが多く、演習量が乗るぶん「比以降が重い」と感じやすい家庭は多いはずです。

SAPIXは“前倒し+高密度”で、息切れポイントが分散しやすい

SAPIXは、単元の導入が早く、進度も速いと言われがちです。
その分、「後半だけが急にきつい」というより、通年で負荷が一定以上ある感じになりやすい。

言い換えると、
・日能研:後半に“段差”が来る
・SAPIX:段差というより“常に坂”
この違いが、体感として大きい。


日能研小5算数で詰まりやすいポイント(親が観測できる症状)

割合・比・速さで“式は立つのに最後が合わない”が増える

この症状は、だいたい原因が3つです。

  • 単位/条件の読み落とし
  • 比の置き方(どれを1と見るか)が不安定
  • 計算処理で落とす

後半は、1問の情報量が増えるので「最後が合わない」が一気に増えます。

図形×比(相似・面積比)で言語化不足が露呈する

図形は、式より先に言語化が必要です。
「何が同じ」「どこが対応」「比がどこに効く」
これを言葉で整理できないと、手が止まります。

計算の穴が「応用単元」で急に致命傷になる

後半は、問題が長い。式も増える。
だから計算の穴が致命傷になります。
「理解はしているのに点が取れない」が増えるのは、ここです。


親ができる打ち手|「6年で戻る」じゃなく「5年のうちに戻る」設計

ここが一番言いたいところ。
6年で戻ると、時間が足りなくなります。
戻るなら5年のうちに戻る。しかも“戻り先を固定”する。

復習は“翌週までに2回”をルール化(直し→類題→再テスト)

おすすめはこの型です。

  1. 当日〜翌日:直し(解説を読んで納得)
  2. 週内:類題(同じ型を1〜2問)
  3. 翌週:再テスト(同じミスを潰せたか確認)

「直しだけ」で終わると、後半は確実に積み残します。

テスト直しは3分類(読み違い/理解不足/計算・処理)で最短化

忙しい家庭ほど、直しを“長く丁寧に”やろうとして逆に続かない。
だから分類して、短時間で狙い撃ちします。

  • 読み違い:条件線引き/単位チェックのルール化
  • 理解不足:解説を要約して“自分の言葉”を1行
  • 計算・処理:途中式の型(分数/比/単位)を固定

共働き運用テンプレ:家庭会議10分+週次レビュー15分で回す

ここは父親視点の実務です。気合いより設計。

  • 家庭会議10分:今週は何を捨て、何を残すか(優先順位)
  • 週次レビュー15分:テストの「穴」1つだけ決める
  • 穴の修正:類題2問+再テスト1回だけ

これで「崩れない運用」が作れます。


まとめ|日能研小5は「山の高さ」より「勾配」がきつい。先回りで勝てる

日能研小5後半が苦しくなるのは、子どもの能力の問題というより、カリキュラムの“負荷の立ち上がり方”の問題です。
SAPIXは通年で高負荷、四谷大塚・早稲アカは比を軸に後半が重い。
その中で日能研は「前半の丁寧さ→後半の急勾配」が起きやすく、ここが鬼門になりやすい。

「進度が遅い」と感じた瞬間が、実は仕込みどき

前半で安心してしまう家庭ほど、後半でつまずく。
だから、前半こそ仕込みどきです。

今日からできる1センチ改善(3つ)

  1. 復習を“翌週までに2回”に固定する
  2. テスト直しは3分類で最短化する
  3. 家庭の運用テンプレ(10分+15分)で崩れない仕組みを作る

この3つだけでも、小5後半の“苦しさ”はかなりコントロールできます。

参考リンク集

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